February 06, 2006
CIT:「話し合いと占星術」
「…何事をするにつけても口を出す親族の多いこの国(注:インド)では、占星術での決定が皆を説得する口実になるからだ。話し合いで何かを決めるのは不可能にちかい。そんなことをしたら、誰もが自分の意見を主張して憚らないだろう。だから占星術師が必要になるのだ。
千五百年前にギリシャから伝わった占星術が、世界のどの国よりもインドで発展した背景には、このような大家族での決定問題や多民族・多宗教事情があると私は考えている。
…
価値観や宗教を異にする多民族によって構成されるインドのような複合国家は、国家原理の根幹にこのようなニュートラルで神秘的な決定手段を持っていていいのだと私は思う。
論理を超え、直接感情の深層に働きかけることによって統御不可能なものを統御することができる。私はそれを賢い方法だと思っている。というのも、論理は文化の形によってさまざまに異なり、あるときは互いに正反対であることもあるから、主張すればするほど相互に軋轢を生む。」(喪失の国、日本」M・K・シェルマ 文春文庫 p.22〜23)
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