April 14, 2005
1964.7.12
1964.7.12(日曜日)A Mon Amie
日曜日にこうして自宅でくつろぎながら、つれづれにペンを執るなどということは、なぜかずいぶん久しぶりのような気がします。毎日毎日お役所勤めなどしていると一週間に一度はゆっくりと休養を取らないことには、精神的にも肉体的にも参ってしまいそうです。
先週の日曜日にはテニスの対抗試合がありました。白球会に入って日が浅く、まだコートにさえ2回ほどしか行ったことのない僕が、すぐ試合に出してもらえるのですから、身に余る光栄だと言わなければなりません。しかし、一応は試合に出てもそれほどおかしくない位の実力を、前日の練習のとき認定してもらっているのですから、学生のチームに比較して規律がゆるいなどとは思わないでくださいよ。
試合は「東洋レーヨン」との定期的な対抗戦で双方から男性15女性2の計17チームが出場し、世田谷の東レ深沢寮で日曜日午前11時ごろから午後6時近くまで熱戦を繰り広げた次第です。
硬式庭球に転向してから一ヶ月しかたっていず、しかもMITIに入って一年の僕のチームがまず最初に出場させられるのは理の当然でしょう。佐伯と組んで僕がフォアー。試合は確かに心理的なもので実力が同じならば、落ち着いて粘った方が勝に決まっています。まず最初のセットを6-2でとりました。よし、この調子ならいけるという気の緩みから、第二セットは、4-2、5-3と先行され、あわやと思ったのですが、そのあたりから見事に立ち直って、ついに8-6と第二セットもものにし、貴重な初勝ち星を上げたのです。
もちろん、僕は白球会の対抗戦は初出場ですから、この勝利は、僕にとって初出場・初勝ち星であり、その頃まですでに試合の終わっていた3試合を含めてMITIチームにとっても初勝ち星であったのです。おかげでチームの面々からずいぶんお祝いの言葉を貰いました。
確かに、勝利の味わいは格別です。しかも、初出場で上げた勝ち星であってみればなおさらです。後で高橋通商政策課長に言われたのですが、「初出場で勝ったらテニスはやめられなくなるよ」という言葉通り、確かにやめられなくなりそうです。その日の総合成績は、8-6でMITIの勝ち、女子チームの2-0がその中に入っているので、男性ばかりでは6-6の引き分け、僕らの1勝も勢力均衡の貴重なポイントであったわけです。
試合が終わってからのビールのうまかったこと。「勝利の美酒」とはよくぞ言ったものだと思いました。
実は昨日も午後はテニスの練習でまるっきりつぶしてしまったのですが、やはり、もう病みつきになってしまったようです。昨日は川原局長が、児玉・服部という大学以来のpairで、コーチに卓越したcoupleをお連れになり、局長自らも色々と手を取ってコーチしてくださいました。テニスの道の厳しさを知るとともに、それだけにやりがいを感じました。
昨日は、鬼塚さん、小島さんと組んで3試合やりましたが、全勝。最後の小島さんとのsinglesも6-0で圧勝しました。まだまだ技術的には未熟ですが、勝利への執念では誰にも負けないつもりです。練習終わって、局長・コーチを囲んでビールを傾けましたが、その席でも色々とためになる話をうかがうことができ、ますますやる気を強めた次第です。
14:33:34 |
akybe |
comments(0) |
TrackBacks
1964.7.3-2
1964.7.3(金曜日)午後10時27分
〇私の計画の中に今日という日があったろうか。その昔、私は美しい思い出が美しい思い出を呼ぶというなら、と一人の女の子に詩を贈ったことがある。そのとき以来たとえそれが美しい思い出であったとしても、更なる美しい思い出を伴って私の前に現れてくるなどということは、私の頭の中においてさえ、次第にありえないことのように見なされ始めていたのだ。私は、半ば諦め、その人を遠い人のように思い始めていた。
本当に久しぶりにその人にtel.したのは、今週の月曜日のことだったと思う。私たちのおしゃべりは以前と少しも変わるところがなかった。生き生きとした、テンポの速い会話が少しの途切れもなく、限りないほほえみと絶え間ない笑い声のうちに、まるで我々の間に数ヶ月の、いや、半年に近い空白があるのが信じられないぐらい、スムーズに十数分間続けられたのだった。そして今日6時にDateする約束が一瞬のためらいもなく二人の間に取り交わされたのだ。
〇美しい思い出が美しい思い出を持って現れる日とは今日のような日のことだろうかと思う。私は今信じられないぐらいの幸福感に包まれて、こんなに幸福であっていいのだろうかと疑問にさえ思っている。
〇あの春の日―あまりにも愛くるしかったまだ少女っぽい女の子が、やや大人じみて、しかも昔のままの愛くるしさ―ああ抱きしめてもみたい愛くるしさ―を持って、私の前に立ち現れたとき、本当に私は何と言っていいかわからないぐらいだった。彼女の存在そのものが私の心をそそるのだ。ただ一緒にいるだけで何とも言えない幸せに私の心は閉ざされ、えもいわれぬときめきに、私の心は妖しく乱れるのだ。私の計画になかった今日という日を、私は忘れることができないだろう。
14:31:37 |
akybe |
comments(0) |
TrackBacks