December 16, 2005

読後感:「トルコで私も考えた」高橋由佳利著 集英社1998


「トルコで私も考えた-1」高橋由佳利著 集英社 1998.12.21 1999.7.20 第8刷 C9979 ¥857(105)E p.190

 このコミックを読んで、トルコに関心を持ち始め、トルコに行きたくなり、実際に行った人は、結構多いに違いない。私は行きたくなった一人だ。

 著者は、近所のトルコ料理店での、「イスタンブールに行くのならいいホテルを紹介しますよ」というマスターの一言に、これはひょっとしてひとつのチャンスかも知れないととにかく行くことを決め、出かけるのである。たちまちトルコが好きになり、その年のうちに2度目の旅に出かけ、翌年にはトルコ語の勉強のために長期滞在し、その翌年には、トルコ人と結婚し、次の年には家を買った。だから、旅行者の旅行記のレベルを越えている。4年間にわたる雑誌連載をまとめたものだから、最初の旅行のころのは、旅行者的間違いもあったようだが、本にするに当たって必要な範囲での訂正も加えてあり、十分信頼に足るものになっているようだ。

 トルコ人は、親日的でこころ優しくロマンチストで家族や親戚友だちの絆が強く近所づきあいや、お客を限りなく大切にする。おしゃべり(3つの話題が交錯しても気にしない)と食べること(食べ物はどれもおいしい)と踊ること(嬉しいと言って踊らない人はいない)が大好きという。こうしたトルコ人の日常生活が内側からきめ細かく描かれているので、トルコ人に対して非常に親しみを覚える。

 トルコ語の文法は日本語によく似ていて、著者がトルコ語が好きなのは「めちゃ可愛くてユーモラスでほのぼのと土臭いところ」らしい。一人称単数すなわち私が「Ben」=ベンだというのも、まさにそうだ。著者の名前由佳利=ユカリは上という意味らしく、よく笑われたという。

 イスタンブールを始め、著者が訪れたトルコの各地の有様に加え、シリアへの旅行なども、面白おかしくまとめてある。ラマザン(断食月)の実態もよくわかる。

 著者は、女性らしく「いい男について」も一節を設けてる。「告白するとトルコには美少年美青年が多いので嬉しい。けれどこの「美少年→美青年」も30歳に近づくと「→ハゲて太ったおじさん」に変身を始める人が多い。けれど告白すると私の最終的な好みはこの「→ハゲて腹の出たおじさん」なので、トルコのおじさんの90%がこの外見であるところから私にとってトルコはいたれり尽くせりの好みの国なのである」(p.150)

著者がトルコに住み着くようになり、トルコ人と結婚したのも納得がいく。

 第2巻も読みたいものである。(2005.12.16記す)




22:30:03 | akybe | comments(2) | TrackBacks