September 18, 2006

CIT:「在日」

「「在日」には複雑な感情がある。「在日」のある若い世代は、「世界中でいちばん好きな国、日本。世界中でいちばん嫌いなのが朝鮮半島。同時に、世界中でいちばん好きな国、朝鮮半島。世界中でいちばん嫌いな国、日本」その両方が自分の中にあるという。それは極端に矛盾した言い方であるが、わたしにもそれと似たような感情がある。つまり、日本というのはいちばん好きな国、愛すべき国であると同時にいちばん嫌いな国でもある。朝鮮半島もいちばん嫌いな国だけれど、ある意味で愛すべき国である。そういう状態がなぜこんなにも続くのか。
 わたしのメランコリーの根源には、つねにこの分裂の感覚があるように思う。分裂は、暴力によってではなく、「和解」によって癒されなければならない。もっとも、分裂は完全に統合されることはないかもしれない。しかしそれでも「他者」を自分の中に受け入れ、その「異質性」と共存していくことによってしか、不安を解消することはできないのではないか。」
「在日」姜尚中 講談社 2004.3.23(p.65)

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