March 11, 2006

読後感:「 52歳、駆け抜けたアフリカ」戸井十月 (新潮社 2001年)

実に、良い本だと思う。
アフリカを知る上で私にとっては、これまで読んだ本の中で最良といって良いだろう。

52歳の著者は、バイクでアフリカを100日間にわたって走る抜ける。

 ジブラルタル海峡をフェリーで渡って、アフリカ縦断の旅は、アシラから始まり、ケープポイントで終わる2万?。日記体で綴られたIからVIの本文に、旅のエッセンスを抽出した6編のエッセイを配した構成。2001年2月末に始まり、同年6月5日で終わる日記部分に、著者とクルー5人(NHKで放映されるので、ビデオ隊も同行、650ccバイク、ポンコツ・サポート・カー兼撮影車2台)のその日の行動の子細(天候、走行距離、誰と会い、何を見、どこに泊まり、何を食べ、飲み、どんな目に遭ったか、健康状態、クルーのこと、悪路での転倒・怪我、空撮の様子、車の修理メンテナンス……)黒いアフリカ人、白いアフリカ人、アフリカ風俗・風習・風物、野生動物、景観、感想、感慨、思索、亡くなった父親のこと、家族のこと、ペットのこと、などなど、ぎっしり詰め込まれていて、読み応えがある。

 アフリカという大大陸の複雑きわまりない輪郭が、日記の行間に浮かび上がってくる。これほどの過酷な旅に出かける著者の冒険心、たくましい知的好奇心、率直で飾らない人間味・人間性が、伝わって来て、読後感は爽やかである。

 この旅が、著者による<五大陸走破行>の、アメリカ、オーストラリアに継ぐ第三弾らしい。他のシリーズものも読みたくなった。

11:33:58 | akybe | comments(0) | TrackBacks