March 08, 2006

木製の自転車

52歳、駆け抜けたアフリカ」戸井十月 (新潮社2001年)p.171~180

(引用者注:タンザニア連合共和国での記事

2001/5/4(金曜日)曇り、時々小雨ブワンガ付近のキャンプ地/カスール付近のキャンプ地

「相変わらず道行く人が途切れない。木材やサトウキビを頭に乗せて腰を振る女たち、両手にニワトリをぶら下げた男たち、木製の(!)自転車で坂道を下る子供たち……。身なりは貧しく、緑の中に点在する土の家は家畜小屋のように見える。水浴する母と子供、ぬかるみを自転車でゆく農夫、穴や水溜まりをよけて蛇行し、巨体を軋ませて這い進むバスやトラック……。ともかく人々は行き交い、泥の道の上を交通している。
 それにしても木製の自転車には驚いた。というより感動した。今までも貧しい土地はあちこち旅してきたが、さすがに木製の自転車はなかった。荷台に薪や荷物をくくりつけ、登りはこれを押して歩き、下りは跨って走り下りる。チェーンはないから機能的には手押し車なのだが、これが実によくできている。よほど売ってもらおうと思ったくらいだ。」

20:01:58 | akybe | comments(0) | TrackBacks