August 28, 2006

CIT:クチナシと碁盤の脚

「 クチナシといえば香りの高い花だということくらいは誰でも承知しているのではないか。それにしえは面白い名前だ、とも思っている人も多かろう。
 その面白い名前は、果実が裂開しない、つまり口が開かないからだという。花が洒落ていて香りが上品な割にはいやに即物的な命名だ。もっとい面白いことには、将棋盤や碁盤の脚が奇妙に凝った形をしているが、あれはこのクチナシの稜のある果実をモデルにしたという。なぜ、クチナシの果実を、というと、将棋、碁の対局には口出し無用、ということを象徴しているのだそうな。
 そうなると、碁盤の脚の形はクチナシの名前が付いて依頼のことになるわけで、もし、クチナシという木がなかったら、あの形のデザインは生まれなかったということになる。
 ところで、ついでなかが碁盤の裏に四角いくぼみが彫ってあるのは口出しをした者の首を切って載せる台を意味するという。どっちにしても碁、将棋に口出しが多いことを表している。」(P.196)
(「続・日本の樹木」辻井達一 中公新書1834 2006.2.25 C1245 P.230

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