May 29, 2006
CIT:「ロンドン骨董街の人びと」から
「ロンドン骨董街の人びと」六嶋由岐子著 新潮社 1997年から「in situ とは、ラテン語で「元の位置に」という意味だが、こちらの古美術業界ではよく使われる言葉である。ハウス・セールの下見の醍醐味は、この「イン・シツ」の状態の美術品に逢えることだ。(中略)イギリス人は何に対しても、そっとしておこう、自然のままにしておこう、という気持ちが常にはたらく。たとえば相手の領域にむやみに立ち入ることのない個人主義的な人付き合い。あるいは、フランス人などの人工的な庭とは異なり、自然の姿をそのままに残したイギリスの庭園。または、化粧や着飾ることを嫌う女性たち。それらはイギリス人の気質を語る上で見逃すことができない。「イン・シツ」にこだわるのも、そんなイギリス人気質からきていると言ってよいだろう。」(p.224)
「統計によると、イギリスは「幸せである」と答える国民のパーセンテージが世界で最も高く、自殺が最も少ない国のひとつだそうだ。」
(p.229)
「結局、幸せとは、自分に合った週末の過ごし方を知っていることなのだ。」
(p.230)
中国と日本
「中国の皇帝(チャイニーズ・エンペラー)。その響きにヨーロッパ人は、ひどくロマンをかき立てられる。壮大なスケールと絶大な権力。叡知と長寿。東洋の神秘の真髄。イギリス人が日本へ抱くのは好奇心だが、中国へは畏怖の念を抱く。イギリス人は昔から、中国のスケールに驚き、「かなわない」と思ってきた。」(p.156)
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