March 29, 2005

「英語で読む万葉集」より(2004.12.14)


…とくに花が「咲く」ということは、「裂く」というエネルギーの活動をはらんでいるので、単なるbloomよりも split into blossaoms、「花へとさく」、という表現になってしまう。(p.15)

 ひとつの季節が「過ぎる」という経過の中に「時間」が視覚的に見えてくる。それは日本語の詩歌の伝統において根本的な手法となっていく。持統天皇の香具山の歌は、書きことばとしての日本語の出発点において、ひとつの手本をなしている。
 だから、「過ぎる」は、きわめて重要な日本語なのである。その英訳は、passとかpassingになる。「過ぎてゆく」ことを一千年余にわたって描きつづけてきた和歌も、物語も、それらの英訳を読んでいると、pass、passing、passed という動詞がどれだけ多く出てくることか。(p.19)


そして「らし」という、その動きの表現をやわらげるような、最も日本語的な日本語。(同)
12/14/04 15:52:22

Posted by akybe at 03:40 P | from category: 引用句・語録 | TrackBacks
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