July 09, 2005
日記:1964.8.16(日曜日)
1964.8.16日曜日
〇女性は男性にとっ てオアシスで あるべきである。ところが、この世の中にはサバクみたいな女性のなんと多いことだろう。オアシスと思ってやっとたどり着いたところが、サバクの上の蜃気楼 であったりすると、われわれ旅人はほんとうにがっかりしてしまうのだ。やさしさとセンシビリティ、これがオアシスの泉であり、緑陰である。
女性らしい情緒とや さしさで快くわれわれを包み込み、われわれの憧れを見抜き、物事に対して人間らしい感受性をもってさえすれば、旅に疲れた隊商はいつまでもオアシスのもと を去らないはずである。
〇今日はルネちゃん とずいぶん遊んだ。彼女はまだずいぶん子供っぽくて、屋根の上を歩き回り、いろいろお転婆振りを発揮する。五日間海に行ってきただけあって、色は真っ黒、 それに屋根のトタンの錆がついて、やはり子供っぽい汚れ方をしている。
色々と楽しい口争 い。彼女は負けずに大きな声で反発してくる。ボールをぶっつけあったり、つかみ合ったり。でも、こんな気取りのない子供らしさも、あっという間に女らしい おしとやかさに変わってしまうのかも知れない。
「もっと女らしくし とやかにしなくちゃだめだよ」
屋根の上に夕日を背 にして、真っ黒になって突っ立って、犬や猫に棒切れや石ころなどを投げつけているルネちゃんに言うと、
「あら、私これでも ずいぶんおしとやかになったんだそうよ。子供の頃はもっとすごかったんですって」
とけろりとしてい る。
ぼくも中3ぐらいで 妙にませくれた女の子よりも、のびのびと明るく子供っぽい女の子のほうが好きだから、からかって言っているに過ぎないが、後3年たつと彼女も18の女の子になっていると考え ると、なんだか恐ろしいような気がしてくる。
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