September 18, 2006

CIT:「在日」

「「在日」には複雑な感情がある。「在日」のある若い世代は、「世界中でいちばん好きな国、日本。世界中でいちばん嫌いなのが朝鮮半島。同時に、世界中でいちばん好きな国、朝鮮半島。世界中でいちばん嫌いな国、日本」その両方が自分の中にあるという。それは極端に矛盾した言い方であるが、わたしにもそれと似たような感情がある。つまり、日本というのはいちばん好きな国、愛すべき国であると同時にいちばん嫌いな国でもある。朝鮮半島もいちばん嫌いな国だけれど、ある意味で愛すべき国である。そういう状態がなぜこんなにも続くのか。
 わたしのメランコリーの根源には、つねにこの分裂の感覚があるように思う。分裂は、暴力によってではなく、「和解」によって癒されなければならない。もっとも、分裂は完全に統合されることはないかもしれない。しかしそれでも「他者」を自分の中に受け入れ、その「異質性」と共存していくことによってしか、不安を解消することはできないのではないか。」
「在日」姜尚中 講談社 2004.3.23(p.65)

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CIT:水前寺・立田山

水前寺
「九州でも最強の師団本部が置かれている熊本市は、戦災の被害も甚大で、敗戦直後、熊本駅から水前寺までほとんど焼け野原同然の廃墟と化していた。」
「在日」姜尚中 講談社 2004.3.23 (p.24)

立田山
「……熊本市内を一望できる立田山は、市民の憩いの場所であるとともに、夏目漱石の『三四郎』に登場する山としても知られていた。」
(同上p.37)

自転車
「娯楽も乏しく、テレビも高嶺の花であった時代、娯楽を兼ねた社会への窓口は映画で、「おじさん」も大の映画ファンだった。しょっちゅうわたしを映画に連れていってくれた。「おじさん」の自転車の前にまたがって、「ニューシネマパラダイス」さながらに映画館へ向かうとき、わたしの心は弾んで浮き浮きしていた。
……冴え冴えとした月の下、わたしを乗せて、「おじさん」は気持ちよさそうに自転車をこいでいた。心の中が何か温かくなったような気がした。」
(同上P.57)

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