March 26, 2006

HPにエッセイ「絵の取り持つ縁」掲載

私のホームページにエッセイ「絵の取り持つ縁」を掲載しました。
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 昨年の本誌5月号(vol.13)に、「自転車を 描く」というエッセイを掲載したのだが、覚えていらっしゃ るだろうか。その冒頭に「このところ毎年2月は水彩画書きに忙殺される」と書いた。今、 まさにその2月、今年も水彩画描きに文字通り忙殺されている。

 出品を予定している作品展は、毎年3月初旬(今年は 2日、3日)に開催されるのだが、もう9年も続けて3点ずつ出品しているので今年で切らしたく ない。先月20日の登録締め切り日までに今年も一枚も描いていなかったが、3点出品しますと登録だけは済ませた。その手前、それまでに3枚描かなければな らないが、仕上げたのはまだ1枚切、後の2点は、題材も決まっていない始末だ。おまけに、このエッセイも9日までに書くように言われている。その上、19 日から22日まで北京で開催される日中自転車懇談会にも出席しなければならない。本当に間に合うかどうか、まことに心許ない。

 私は、自転車・サイクリングの素晴らしさに惚れ込ん でいるので、その振興・普及のPRマンを自ら任じ、ことあるごとにPRに努めている。スピーチ やインタビューを求められれば、気軽に応じるし、自らのブログにも自転車コーナーを設けている。私的な会合でも、決まって自転車を話題に持ち出す。そうし た際、昨年描いた絵「ア ラスカ・自転車ツアー」は、大いに役に立った。

 絵をスキャナーでパソコンに取り込んだので、自宅の カラー・プリンターで簡単に増し刷りできる。仕事で関係のある人から、同窓会、同期会、参加し ている各種の同好会・委員会・昼食会、姪の結婚式の同席者、旅先で知り合った人まで、実に多くの人に差し上げた。そのたびに、アラスカの大自然のなかでも 見栄えのする自転車の素晴らしさ・美しさに言及し、自転車・サイクリングを是非よろしくと口を添えた。

 中国では、上海自転車ショーのとき持参し、来賓の昼 餐会でお会いした全員に差し上げた。なかには全国人民大会常務委員もおられたが、サインを求め られた。その方にならってか、他の来賓からも次々とサインを求められたが、快く応じたことはいうまでもない。その後、見学した工場や検査所で、お世話に なったかたがたにも、お配りした。

 UCI(国際自転車競技連合)のトラック委員会の委 員に就任した関係で、スイスの同本部やウイーンのジュニア選手権、モスクワのワールド・カップ 戦にも出かけたが、その際お会いしたUCIの新会長マックウエイド氏をはじめ事務局の人たち、トラック委員会の新旧委員、ヨーロッパ自転車競技会の幹部、 ロシア、ポーランド、ギリシャの自転車競技会の会長や幹部にも、差し上げた。

 これは、自分のできることで、自転車・サイクリング の振興・普及に少しでもお役に立ちたいということから、やっていることである。この欄にエッセ イを書くのも、同じことで、組織のトップが自らエッセイを連載しているということで、少しはこのthe bicycleに関心を持ってくれる人を増やしたいが ために他ならない。トップの人柄・趣味がわかれば親しみを覚えていただけよう。要するに客寄せパンダの役割を果たせれば良いと思っている。

 時々「読みましたよ」と声をかけてくれる人がいると 嬉しい。「毎号、楽しみにしています」と言われると、締め切りに追われながら、原稿料をいただけるわ けでもないのに、深夜までも頭をひねって書いた苦労が報いられる思いがする。

 テーマを自転車に限定しないのは、自転車に関する薀 蓄がほとんどないことが主因だが、それだけではない。the bicycleは、情報誌であるがゆえに、どうしても固 苦しくなりやすい。ちょっとした息抜きのコーナーがあってもいいように思える。まあ、オフィスの一角に喫茶コーナーがあるようなものだ。様々な人 が、この雑誌を手に取るに違いないが、自転車に関心のある人だけでなく、なかにはあまりない人も混じっていよう。テーマが自転車に関係なくとも、目先の変 わったエッセ イに気をとられて、ページをめくっていただければいいではないか。

 ところで、今年描き上げた一枚は、MTBがモチーフ である(「クロスカントリー」)。これが、今年の私の自転車PRマンとしての活動に役立つことを今から願っ ている。

?@自転車の絵というと思い出すのが、故加藤一画伯 (1925〜2000)である。6年前のこれも2月、たまたま古本屋で画伯の自伝「風に描く」(文 芸春秋社刊1987年)を見つけ、競輪界から転じてパリで画家として成功したという経歴に興味を持って早速購読した。芝白金で開催された個展にも足を運ん だ。風を抽象的にとらえた絵は斬新で感銘を受けた。この風は、ほかならぬサイクリストが感じる風である。その後、自転車に関係の ある今の仕事に付くことになったのだが、画伯が自転車界では知らぬ人のない有名人で、競輪広報大賞まで受賞されているということを知り、自転車と私を結び 付ける 深い縁を感じた。

 昨年読んだ本に「自転車チャンピオン」(未知谷刊  2005年)がある。この本は、ツール・ド・フランスで史上初めて三連覇(1953年〜55年)を成し 遂げたルイゾン・ボベの読み応えのある自伝である。「自転車選手、それは世界で一番素晴らしい職業だ」と言い切る、このルイゾンが、加藤書には、「チャン ピオンのタイトルをもった選手というのは大体いい顔をしている」の一人として顔を出す。

 UCI本部を訪れたとき、私が件の絵を差し上げる と、かつて7度も世界選手権のチャンピオンに輝き、現在WCCでコーチをしているフレドリック・マ ニェさんが、わざわざ、3階に案内してくれた。そこには加藤一画伯の自転車をモチーフにした素晴らしい絵が飾ってあったのである。

 絵が取り持つ縁が、これからも多方面に広がっていき そうな気がしてならない。


Posted by akybe at 08:20 P | from category: 人生の愉しみ | TrackBacks
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