December 24, 2007

CIT:アラン(美をつくるもの、模倣)

           2007年12月24日

アラン(1868-1951 「芸術に関する101章より」斎藤正二訳)


美をつくるもの

「美をつくるものは、健康で、自由で、断定的で、大胆な、歓喜の衝動だ、というふうに、私は考えたくなるのである。美をつくるものは、人間と物との友情である、といってよいかもしれない。たいせつなこと、それは、自然の対象を生のまま素のままに受けとめることである。
 すべて教えられたもの、他人の受け取りかたを模倣したものは、見ていて、情けなくなってしまう。修辞家の美辞麗句、化粧術、リボンの波といった、他人を喜ばすためにつくられ、自分自身の喜びのためにつくられないものが、それである。」(p.10)


模倣

「もっともすぐれたものは、どの時代においても、つねに、もっともすぐれた形式を模倣するところから生まれたものである。すぐれたものは、そのどれもこれもが、模倣しつつ発明したものである。おそらく、今日でも、そのとおりであろう。…今こそ、傑作を模倣しなければならないのだ。伝統というものは、歴史を軽蔑することによって、そして失敗作を忘却することによって、はじめて、はたらきうるものである。…模倣し、模倣しぬくべきである。そして、模倣しながら発明すべきである。模倣することによって飛躍をうる芸術上の独創の秘密は、じつは、ここに隠されているのだ。それは、音楽家が、巨匠の書いた曲を弾くことによって、みずからの飛躍をうるのと、ちょうど同じである。音楽こそは、この道順を、いちばんよく説明してくれる。また、これ以外に道順はありえないことを、いちばんよく証明してくれる。」(p.13~16)

  ちくま哲学の森6 「詩と真実」1989.12.15より



Posted by akybe at 12:30 P | from category: 引用句・語録 | TrackBacks
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