September 28, 2008

ツール・ド・フランスとは(CITランス・アームストロング)

ランス・アームストロング「ただマイヨ・ジョーヌのためでなく」講談社 2000.8.25 から(p.93)

「僕はツール・ド・フランスに出場するとはどういうことなのかを学んだ。ツールは単なる自転車競技なのではない。それは人生を象徴するものなのだ。単に世界でもっとも長いレースであるだけではない。それはすばらしい心の高揚、極度の苦痛、また潜在的に悲劇を秘めている。選手が考えられる限りの、そしてそれ以上のさまざまな事を、選手に味わわせてくれる。寒さ、暑さ、山岳、轍の後、パンク、強風、クチにするのもいやなほどの不運、信じられないような美しさ、うんざりする無意味さ。そうしたことから本当の自分が見えてくる。人生の中でも、僕たちはいくつもの違った状況に直面する。時に後退を余儀なくされ、失敗と素手で格闘し、雨の中では頭を垂れる。それでも何とかして毅然と立ち、少しでも希望をもちたいと思っている。ツール・ド・フランスは単なる自転車レースではない。それは試練だ。ツールは僕の肉体を試し、精神を試し、そして道徳的にも僕という人間を試すのだ。
 ようやくわかった。近道はないのだ。精神と肉体と品性を確立するには、何年にもわたって自転車に乗り続けなければならない。何百という試合に出場し、何万キロも走ることが必要だ。脚に、頭に、心に、鉄のような強さを持つまでは、僕はツール・ド・フランスでは勝てないだろう。一人前の男にならない限りは。ファビオは男だった。僕はまだその途上にあった。」

Posted by akybe at 10:20 P | from category: 引用句・語録 | TrackBacks
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