April 13, 2005
1964.6.14
1964.6.14〇一見多感なそれでいて自分については控えめで多くのことを語りたがらない僕の文章に慣れている人には、僕という人間はそれほど明らかな存在ではないはずだ。自分自身でもおかしなぐらい僕は自分のことを話したり書いたりすることが不得手である。
僕の心の中にあって確固不動のものが未だ形成されていないのだろうか。僕はまだ自信を持って自分自身を人に示すことができないのだ。小島さんから文集を貰って感心したことは、彼には僕に欠けているこの確固不動なるものがあるということである。それを持っている人は何を言い何を書いても迫力がある。それが我々の心を打つのである。
〇今日はHerbst先生の送別会だった。先生はこの19日に帰国の旅におたちになる。
僕は先生については色んな楽しい思い出をたくさん持っている。今まで知り合った女性の中で日本人外国人を問わず、一番気が置けず話し合える人といってよい。非常に親しみのある方で、明るくてユーモアに富んでいて、少々お茶目なところも残っている34歳のミスである。
学校を卒業してしばらく学生センターから遠ざかっていたら、つい2週間前五百川さんに会って、彼女がこの19日に帰国し、その送別会が今日あると聞いて、是が非でも今日は出席しようと思っていたのだ。先生を取り巻いた30人を越す一人一人が先生がどんなに素晴らしい人であるかについて代わる代わる立ち上がって話をした。僕も先生の思い出を話し、今度は是非アメリカでお会いしたいと結んだ。
会が終わってから、またいつもの笑いの絶え間ない談話を繰り返し、富士前町まで都電で一緒に乗っていって別れた。
いつまでもお幸せに、祈りたい気持ちである。
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